
恋愛とは人間が他人に対して抱く情緒的で親密な関係を希求する感情で、またその感情に基づいた一連の恋慕に満ちた態度や行動を伴うものです。
恋愛の定義の仕方は、国語辞典によっていろいろな個性がみられます。「広辞苑」第6版では、「男女が互いに恋い慕うこと。また、その感情。こい」と簡単に記されています。
「三省堂国語辞典」では、第6版の「恋愛」は「恋」および「愛」を総合した定義です。同書では、まず「恋」は「〔男女の間で〕好きで、会いたい、いつまでも そばにいたいと思う、満たされない気持ち(を持つこと)」、「愛」は「@損得ぬきで 相手につくそうとする気持ち」「A〔男女の間で〕好きで、たいせつに思う気持ち」と定義します。そして、「恋愛」は両者を合同した形で、「〔男女の間で〕恋(コイ)をして、相手をたいせつに思う気持ち(をもつこと)」としています。
このほか、「新潮現代国語辞典」などの辞典も異性間、男女間の関係や感情を恋愛と定義づけており、総じて国語辞典では異性愛を前提とした記述がされています。同性愛を「恋愛」と定義づけた記述は見られません。
スタンダールとはグルノーブル出身のフランスの小説家です。彼の分類によれば、恋愛には4種類あると言います。
それは、情熱的恋愛・趣味恋愛・肉体的恋愛・虚栄恋愛です
どんなに干からびた不幸な性格の男でも、十六歳にもなれば(肉体的恋愛から)恋愛を始めます。また恋は心のなかで、感嘆、自問、希望、恋の発生、第一の結晶作用、疑惑、第二の結晶作用という7階梯をたどるとします(同上)。
あらゆる恋愛は6つの気質に起因し、多血質(フランス人)、胆汁質(スペイン人)、憂鬱質(ドイツ人)、粘液質(オランダ人)、神経質、力士質の、それぞれの影響が恋愛の諸相に関与するとします。
なお、スタンダール自身は『恋愛論』の序文(1826年)において、「この本は成功しなかった」と述べており、論の展開は「必ずしも理由がなくはかない」と告白しています。
現在では大抵の国では恋愛は自由で素晴らしいものと考えられています。お互い惹かれあっても日本のように彼氏、彼女という風な関係になることはなく、ボーイフレンド、ガールフレンドという友達の関係に留まります。両者が親しくなると同棲により生活を共にし、問題がなかった場合、婚約するのが一般的です。
イスラム諸国では、現在も恋愛は不道徳なものとされています。ユダヤ人の間では、恋愛を行ってもいいですが、恋人同士で積極的に意見を交換することを教え、恋愛にのめり込みすぎる事は破滅を意味するとタルムードで教えています。
日本では古くから恋は和歌や文学の主要な題材であり、「万葉集」の相聞歌や「古今和歌集」等の恋歌、物語文学でも「伊勢物語」や「源氏物語」などの貴族の恋模様を描いた物がおおく見られます。
中世頃には、仏教の戒律のひとつとして女犯に関するもの(不淫戒)の影響が確認され、とくに男性社会の側から恋愛を危険視する(あるいは距離を置く)べき対象としてとらえる傾向が生じました。権門体制を維持する手段として男性が賦役・租税の対象とされる一方、女性を財産ととらえ、交換や贈与の対象とする傾向が確認され、社会秩序を破綻させる可能性のある恋愛を否定的にとらえる傾向が生じました。
この傾向は江戸時代の儒教文化にも受け継がれ、女大学にみられる恋愛を限定的にとらえる倫理観や、家族制度・社会規範に対する献身を称揚する文化に継承されました。その、一方で近松門左衛門の世話物にみられる義理、信義、家督の継承や世間の風評、金銭の圧力などに抵抗する情念としての恋愛を称揚する文化は民衆に広く受け入れられ続けていました。
明治時代には中流階級では家制度による、親が結婚相手を決めるお見合い結婚が多かったと言われています。明治から大正にかけて、文化人を中心としてロマン主義の影響もあって恋愛結婚が理想的な物なものとの認識が広まり、大正時代には恋愛結婚に憧れる女性と、保守的な親との間で葛藤がおこることもありました。
高度経済成長期以降は、恋愛結婚の大衆化により、恋愛は普通の男女であれば誰でも出来る・すべきものだという風潮が広がりました。又、1980年代後半から1990年代初頭のバブル景気の日本では、恋愛で消費行動が重視される傾向があったとされ、「この時(イベント)にデートするならここ(流行の店など)」「何度目のデートならどこにいく」というようなマニュアル的な恋愛が女性誌や男性向け情報誌トレンディドラマなどえで盛んにもてはやされました。
現代では、親の意向にのみ基づいたお見合い結婚は減少し、夫婦の間の愛情や、本人の意向を重視する恋愛結婚が大多数となりました。いっぽう恋愛の世界で格差社会化が進んでいて、、「恋愛資本主義」、恋愛資本による「魅力格差」・「恋愛格差」などという言葉が用いられています。このような情勢のなかで恋愛や性交渉を経験したことがない中高年層が増加しつつあると分析する者もいます。